キャリアアップのために何か資格をとった方がいいのかな?
ITエンジニアがキャリアアップを思い浮かべた時に、手始めとして資格試験の勉強を思い浮かべる人は少なくないのではないのでしょうか。
たとえば、ITエンジニアが受ける資格試験には以下のようなものがあります。
- IPA試験(基本情報、応用情報など)
- 各種ベンダー試験(AWS, Google Cloud,Oracleなど)
IPA試験は年2回の実施で、各種ベンダー試験は自分の好きなタイミングで受験ができます。
このような資格試験の学習により、体系的な知識の整理やインプットができたり履歴書に保有資格として記載できたりするメリットはあるでしょう。
しかし、結論を先にお伝えすると、個人的にはITエンジニアがキャリア形成を行っていく上で、資格取得に時間を費やすのはあまりおすすめしません。
え?そうなの?
補足をするなら、特に40代では資格取得に時間を費やすよりもっと優先してやるべきことがあるのではないかという見解ですね。
この記事では、40代ITエンジニアが資格取得に時間を費やすことをおすすめしない理由や資格取得しようとする背景、またそれ以上にやるべきことについて解説します。
資格を取得するための勉強は、ゴールが明確で取り組みやすいためにハマる人が多いです。
そもそも何のためにその資格を取ろうとしているのか?本来の目的に立ち返って『資格沼』にハマらないためにも、ぜひこの記事を参考にしてください。
キャリアアップで資格試験の勉強をする人は多いけれど
Geeklyが2022年に行った「自己研鑽への取り組み」についてのアンケートによると、40代のITエンジニアが自己研鑽に費やす時間は週に2時間以下が57%と半数以上でした。
20代〜30代と比べて40代以降が自己研鑽に使える時間が少ないのは、どうしても家事や育児など家族のために時間を割くことが多いためだと思われます。
あまり意識したことはなかったけど、週に1〜2時間しか使えないって思いの外少ない印象だな。
また、その時間に学習する内容について40代を見てみると、資格取得のための勉強がビジネス書、専門書を読むに次いで2位の22.0%でした。
これは全年代で見ても同様で、YouTubeなど無料で学習できるオンラインコンテンツが増えたことで場所や時間を問わず学習できることがその要因のひとつです。
このアンケート結果を見てみると、40代のITエンジニアは限られた学習時間を資格試験の勉強に費やしている人が少なくないことがわかります。
しかし、その時間を資格取得に使うことが本当にキャリアアップのプラスにつながる選択なのでしょうか。
資格取得は未経験からITエンジニアを志す場合や、キャリアがまだそれほどない場合には一定の評価につながると思います。
次からは、40代のITエンジニアが資格試験の勉強をすることをあまりおすすめしない理由について解説します。
40代ITエンジニアに資格試験の勉強をおすすめしない理由
僕の経験も踏まえて、40代ITエンジニアに資格試験の勉強をおすすめしない理由としては
- 資格試験の勉強はインプットに特化している
- 資格を持っていること自体はあまり評価されない
などの要因からです。
資格試験の学習はその性質上、インプットに特化した学習になることが少なくありません。
問題を解くことがアウトプットになると考える人もいますが、資格試験としてのアウトプットはあくまで問題を解くことであって実務には直結しないケースがほとんどです。
たしかに、問題は解けても実際に手を動かして対応できないとそれって本当の意味でのアウトプットにはなっていないよな。
また、転職活動において資格を持っていることがプラスに働くことはゼロではないですが、そのようなケースは非常に少ないのが現状です。
これはITに関する資格が独占業務を有していないこともあって、資格がなくても仕事ができるという点少なからず影響しているでしょう。
多くの社員がAWSの認定資格を全冠するクラスメソッドのような会社はともかく、一般的にはAWSやGoogle Cloudに精通する人でも意外と資格を持っていない人は少なくありません。
過去に何回か採用担当としてスタートアップの書類選考や1次面接を担当しましたが、資格の有無が合否に影響したことは一度もないですね。
もちろん資格試験が役立つこともある
資格試験の勉強がキャリアアップに役立つこともゼロではありません。
たとえば、IPA試験については大手SIer/SESなどでは新卒入社時の研修として基本情報技術者の取得のための勉強をさせることもしばしばです。
また、基本情報技術者についてはITリテラシーについて広く浅く学習する内容ですが、一般的には3か月程度は集中して学習する必要があります。
そのため、基本情報技術者試験に合格していることを最低限の知識レベルを担保するものと考える企業も少なくありません。
未経験からITエンジニアを目指す場合やキャリアがさほどない場合は、最低限の知識レベルを証明するために資格取得していることでアピールできる可能性はあるでしょう。
裏を返すと、ある程度キャリアを積んだ中堅は資格よりも実績などでアピールしていく必要があるんだね。
まさにその通りで、40代のITエンジニアは資格試験より実務に直結する技術の習得を優先すべきなのです。
また上記に加えて、組織を管理するためのマネジメント能力も問われてきます。
ちなみに、40代のITエンジニアがスキルアップするための方法を知りたい方はこちらをご確認ください。
やるべきことはたくさんある40代ITエンジニアなのですが、その中でなぜ「キャリアアップ=資格取得」という思考になってしまうのでしょうか。
まさに僕がその生き証人なので、僕の実体験も踏まえて資格試験の勉強にハマってしまう理由について解説します。
なぜ「キャリアアップ=資格取得」という思考になるのか
いろいろな理由は考えられるのですが、資格取得はゴールが明確になっているため取り組みやすいことが原因のひとつだと言えるでしょう。
ウリの実体験 〜資格取得の沼にハマった話〜
僕自身もその昔、資格試験という沼にハマったことがあります。
僕が実際に持っているのは日商簿記2級と基本情報技術者だけなのですが、過去に受けた試験としては
- 日商簿記
- 公認会計士試験
- 税理士試験
- 社会保険労務士
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- DBスペシャリスト
などがありますね。
とくに会計士試験と税理士試験には、何年もの時間を費やしています。
僕の場合、当時はITに対してそこまで前向きではなかったため、あまり仕事後にITに関する勉強をしたくありませんでした。
また『どうせITには独占業務系の資格がないから』と、ほか分野の資格とITの経験を組み合わせることによって市場価値を高められるのではと思い、上記のような資格試験を受験しました。
簿記やFPもそうだけど、3級を取ったら2級も取りたくなるってことがあったな。実務に関係しなさそうなので止めたけど気持ちはわかるな。
紆余曲折の後にITエンジニアとして転職して、たまたまAWSまわりのサービスに触れた時にはじめてITエンジニアリング関連での学習に興味を持ちました。
そこからは仕事以外でもいろいろなサービスに触れる習慣が身に付き、そこからは順調にキャリアアップができています。
遅まきながら、資格試験より実際に手を動かす習慣を身につけた方が確実にキャリアアップできることを痛感しましたね。
僕の場合はAWSまわりのサービスに触れたことをきっかけに、資格取得以上にIT実務に興味を持ち手を動かすことができました。
資格所得というゴールが明確のため、つい資格を取ること自体を目的にしまいがちです。
自分は何のために資格を取るのか、その理由がパッと出てこない人は注意してくださいね。
資格試験はムダではないが優先順位は低め
これは資格試験自体を否定しているわけではなく、あくまで優先順位として低いという話です。
また、資格試験を取得すること自体に楽しみを感じている場合なども、それが楽しいのであれば無理して止める必要はありません。
資格取得の話ではないけれど、自分のランクを上げたくてAtCoderで競技プログラミングのコンテンツをやり込んだ時期もあったな。
ただし、ITエンジニアのキャリア形成という側面においては、資格試験に時間を使いすぎることはキャリアアップに非効率的であると言えます。
では、資格試験の勉強以外でキャリアアップにつながるのはどのようなものでしょうか。
次からは、具体的にその内容を見ていきましょう。
資格試験の勉強以外にキャリアアップで何をしたらいいのかわからない場合は、
また、
業界での採用に関して最前線を知る人に聞いてみるのは合理的かもな。
キャリアアップにおすすめなものとは?
キャリアアップのための学習には対して意欲は前向きですが、資格試験の勉強以外で何をすれば良いかわからない人は何をすればいいでしょうか。
僕の経験でおすすめのものをいくつかピックアップしましたので参考にしてください。
- AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウド
- SaaSサービス
- ZEN StudyやUdemy
- 個人開発
まずは、AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウドを触ってみるのか良いでしょう。
その中でもはじめやすいところとしては、AWSやGoogle Cloud、Azureなどのパブリッククラウドで自分が触ったことのないサービスを使ってみるのがおすすめです。
AWSなどは、今や数えられないほどたくさんのサービス数になっています。
その中で触りやすかったり自分が興味がありそうなサービスを選んで、使ってみましょう。
次に、SaaSサービスも取り組みやすいです。
パブリッククラウドと同様に、SaaSサービスを触ってみるのもおすすめです。
昨今は多くのSaaSでフリープランが用意されているため、自分が普段関わっている領域のSaaSサービスを試しに使ってみるのも良いでしょう。
SaaSサービスはChatworkやzoom、Googleカレンダーや会計ソフトまで多岐にわたるから、興味のあるものを使ってみよう。
また、初心者レベルの分野があれば、ZEN StudyやUdemyで一から学ぶのもありです。
Udemyのセールで気になる技術分野の動画を見てみたり、AtCoderなど競技プログラミングサイトでアルゴリズム面での学習を深めてみたりするのも一考でしょう。
スキルアップを効率的に行う方法を知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
また、時間が取れるなら個人開発をしてみるのも良いでしょう。
自身で何らかのWebアプリケーションを開発して、実際に公開して運用してみるのがおすすめです。
会社組織の中でITエンジニアをやっていると、どうしても何らかの役割が割り振られます。
そのため、一般的にはフロントエンドエンジニアがAWSでインフラ構築をしたり、またその逆をやったりすることはあまり多くはありません。
しかし、個人開発だと自分ですべてを作ることになります。
普段はAWSやGoogle Cloudなどでインフラやネットワーク、セキュリティまわりを触れたことがない人がキャチアップしながら進めることになるため、学ぶことがとても多いです。
会社だと局所的に関わることがどうしても多くなるから、体系的に仕組みを学びたいなら自分で開発して運用するのがいちばんかな。
ブログで発信することでさらに定着率アップ
上記のおすすめで紹介した内容をさらに落とし込むために、実際に挑戦したことをブログにまとめて発信するのが良いでしょう。
記事をまとめる過程で理解を深めることができますし、情報発信をしていることが自社だけでなくさまざま人に評価されて転職を含めいろいろな選択肢が広がります。
それ以外にもITエンジニアが技術ブログで発信することで
- 同じ悩みを持つ誰かの役に立つ
- 自分という商品のアピール材料になる
- インプットとアウトプットをバランスよくできる
- 広告掲載で収益化も狙える
などのさまざまなメリットがあります。
ITエンジニアが技術ブログをはじめることはメリットづくしです。何を書けばいいかやはじめ方を知りたい場合はこちらをご覧ください。
まとめ|40代ITエンジニアに資格取得の勉強はおすすめしない
これまで40代のITエンジニアに資格取得の勉強をおすすめしない理由やそうなる背景、資格試験の勉強以外にキャリアアップでおすすめするものについて解説をしてきました。
資格試験はゴールが明確なため、資格取得がついゴールとなりがちなので注意が必要です。
その資格を取る理由が何なのか、勉強をはじめる前に今一度自分の心に聞いてみましょう。
また、資格試験の勉強以外にキャリアアップのためにおすすめな方法としては
- AWSやGoogle Cloudなどのパブリッククラウド
- SaaSサービス
- ZEN StudyやUdemy
- 個人開発
などがあります。
僕のイチオシとしては、上記で推奨した内容を技術ブログで発信することです。
ITエンジニアが技術ブログをはじめるメリットは数え上げるとキリがありません。
よし、僕も勉強した内容をブログで発信してみようかな。
すぐに書きはじめたいの場合は、QiitaやZenn、はてなブログなどが無料ではじめられるのでおすすめです。
ただ、副業としてブログで広告収入などを得たいのであれば、ConoHa Wing
技術ブログをはじめたいな、と少しでも興味がある方はこちらの記事を参考にしてくださいね。