どんな基準で会社を探そうかな?
ITエンジニアが転職先を探す場合、転職先ではどのようなスキルや知識が必要かなど、技術面を意識する人は割合多いかと思います。
しかしその一方で、転職したい会社の組織や環境について、詳しく調べる方はどれくらいいるでしょうか。
結論からお伝えすると、給与などの待遇面はもちろん、求められるスキルや知識などの技術面においても、働く会社の組織や環境に依存することがとても多い、という現実があります。
事前にちゃんと調べてから入社しないと、思い描いたイメージと違うという結末になってしまいます。
この記事では、ITエンジニアとして働く上でどのような会社の組織や環境があるかを、業態や規模、給与面、待遇面などから、僕の経験を踏まえて解説します。
また、最後には会社選びをする際に押さえておくべきポイントについても触れるので、ぜひ、転職活動の際に参考にしてくださいね。
ITエンジニア会社選びの要素①会社組織・業態
まずは分かりやすいところでお伝えすると、ITエンジニアとして会社(組織)で働く場合、下記どちらかの業態で働くことになります。
- SIer/SES
- 事業会社
それぞれの特徴について解説します。
SIer/SES
SIer(System Integration Engineer)とSES(System Engineering Service)はともに略称ですが、いわゆるITベンダーのことで、販売会社や製品を提供する会社を指します。
事業会社からシステム開発案件を受注して、それに合わせて開発を行う形態のビジネスモデルです。
SIer/SESについては、僕がパッと思い浮かぶのは
- 日立製作所
- 富士通
- NEC
- NTTデータ
- クラスメソッド
- SCSK など
などの会社になります。
SIer/SESは下請けが前提となるので、ほか業界と同じく一次請け、二次請け、、というように階層状に仕事が流れる「多重下請け構造」になってしまうことも少なくはありません。
ITエンジニアとしてスタートを切る場合は、直接プログラミングなどの作業に携わる、二次請け以下の会社であることが多いです。
ビシッとスーツを着ている印象があるなぁ
事業会社
SIer/SESに対して事業会社は自社で何らかの事業を営んでいて、その事業の中でエンドユーザーのために何らかのサービス開発や運営に携わります。
一般的にはよく「自社サービス」といった言葉で表現されることが多いです。
自社サービスのため、ユーザーにどんな商品を届けるのか、企画段階から開発、運用まで幅広く携われるのも特徴と言えるでしょう。
また、事業会社はチーム内でプロジェクトを完結させるので、勤務地や環境が変化することは少なく、チームメンバーとの関係性を構築しやすいです。
しかし、メンバーや環境の変化が少ないので、常に自ら学ぶ姿勢で外部から情報を取っていかないと、スキルアップしにくいという側面もあります。
私服でラフな格好をしている人が多い印象だね
ITエンジニアとして働いていく上では、このあたりの基本的なところはもちろん、より深掘りしてイメージを整理しておきましょう。
SIer/SESと事業会社の違いについてもう少し掘り下げます。
SIer/SESはクライアントワーク
まず、業態の違いとして大きなところは、受注元から何らかのシステム開発案件を請け負って、それに基づいてシステムの開発などを行うことです。
ある程度の規模の会社だと、基本的には何らかの開発案件が同時進行で動いていることも少なくありません。
また、クライアントに対してシステム開発を行う際には、工数をもとに見積もりを作成して受注します。
受注する度に社員または業務委託をアサインするカタチで進行するので、業務量やクライアントとの相性、利用技術など、案件によってハズレを引くことも。
ハズレな案件でも回避は難しいよ、、
そして、クライアントから仕事を請け負うビジネスモデル上、大幅に給与が上がることはないです。
加えて、PL/PMなど、ある程度上の役職にならないと利用技術の選定はできないことが多いでしょう。
たしかに三次以下の下請けの場合、なかなか給与は上がりにくいです。
事業会社の成果は売上次第
一方で事業会社は、一般的にはシステム開発を生業とはしていないけれど自社のビジネス上必要に応じて何らかのITサービスを開発することがあります。
事業会社のITエンジニアは、おもにこの部分の開発を行います。
また、給与などの待遇面については、その会社が行っている事業の売り上げに左右されやすいです。
事業の売上次第なので、事業規模とかでも給与が変わってきそうだ。
事業会社では、社内メンバーが開発などに携わるので、会社にいる限りはそのシステムやプロジェクトにずっと関わり続けるかもしれません。
一方で、組織によってはSIer/SESを利用する事業会社もあり、その依存度合いによっては自社の自由度が低くなることもあります。
大きな違いとしては、SIer/SESと比べると業務が多岐にわたりいろんな部署の人と話をするので、エンジニアリング以外の要素も求められるでしょう。
それほど規模が大きくない会社の場合、会社のあらゆる人と話をすることも珍しくないですね。
SIer/SESと事業会社どちらが良いの?
みなさんが気になるのは、『転職するならSIer/SESと事業会社のどちらが良いか?』だと思うのですが、答えは、会社によります、が答えです。
ん?どういうことなの??
補足するのならば、会社の組織や環境、規模に依存するので、業態だけでは比べようがない、と言えます。
また、みなさん一人ひとりが会社に何を求めるかによっても、どちらが良いかは変わってくるでしょう。
例えば、年収アップを考えた転職の場合、規模が小さく事業の売上がさほど多くない事業会社よりは、大手や老舗のSIer/SESの方が待遇面が良いこともありますし、
反対に、技術面のスキルアップを求めた転職の場合、一次請けのSIer/SESではプログラミング業務は少ないので、事業会社に入った方が実務を積めることもあります。
よくSNS界隈では、SIer/SESと事業会社を比較するような煽りを見かけますが、そもそも異なる事業ドメイン(領域)の話なので比較のしようがないのです。
そもそも、業態だけで比べられる話でもないんですよ。
SIer/SESと事業会社の違い
- SIer/SESはビジネスモデルがある程度一定であるのに対して、事業会社はその組織の事業ドメイン(規模)に依存する
- SIer/SESは何らかの開発案件の受注を行い、開発(あるいは運用まで)を行うこと、つまりエンジニアリングそのものが価値になることが多い
- 事業会社においては、その組織が事業上必要となるサービスの開発において、実現するための必要な要素の一部分という側面が強い
ただ、ITエンジニアとして実際に働くことになる場合、それぞれの特性を理解しないと自身のキャリア形成や思ったような待遇を得られないケースが出てきます。
どちらかの良い悪いの話ではなく、ここでは、SIer/SESと事業会社の業態の違いを覚えておいてください。
SIer/SESと事業会社のどちらが自分に合っているのか、なかなか決められないな。。
そんな時は一人で悩まずに、
また、自分で興味のある会社に応募したりスカウトを受けたりしてより多くの企業と出会いたい場合は、
ITエンジニア会社選びの要素②会社規模やフェーズ
今まではおもに、業種やビジネスモデルの違いについて触れてきましたが、会社の規模やフェーズによっても環境や待遇面は変わってきます。
具体的には、下記のようなイメージです。
- スタートアップ(シリーズA, B, C, D)
- 中規模(300名から500名)
- 大企業(500名以上)
僕の体感値ですが、スタートアップ企業はひと昔前と比べると資金調達がしやすくなったため、思ったよりも給料が良いケースは多くなっています。
たとえば、シリーズCくらいでフェーズが100名〜200名くらいの会社では、年収が700万〜800万円貰えるといったことも珍しくはありません。
会社の規模やフェーズも重要な要素なんだね。
ITエンジニア会社選びの要素③会社のビジネス
そして、給料面については先述のとおり、基本的にはその会社のビジネス(売上高)に依存します。
したがって、転職したい会社がどのような業種で、どういった事業を中心に売上を伸ばしていたり、維持しているのかに注目する必要があるでしょう。
たとえば、電気や水道、鉄道のような景気に左右されにくいインフラ系の会社などは、売上がある程度の水準で安定していると考えることができます。
その反面、一過性のブームによって売上を伸ばしている会社の場合、ブームが去った後にも売上を立てるほかの事業を育てられる力があるのかなどの判断が必要でしょう。
SIer/SESよりも事業会社の方が、この会社のビジネスによる給与を含めた待遇面の振れ幅が大きい印象です。
それなりの報酬を支払うには、ある程度の売上が必要ですからね。
まとめ|ITエンジニアが会社選びで押えたいポイント
ITエンジニアが転職活動で会社選びをする際には、以下の点についてしっかりと押さえておく必要があります。
- 所属する組織はどのような業態・構成なのか
- その会社の中心となるビジネスは何か(何で売上をあげているのか)
- 給与体系、評価関連についてはどうか
会社選びには、こうした企業研究も大事なんだね。
自分が希望する働き方を踏まえた上で、プロジェクトごとにメンバーが変わるのか、もしくは同じメンバーが関わり続けるのか、メンバー構成、全体人数などを確認しましょう。
会社が何でどのくらいの売上をあげているのかで報酬額も変わってきます。よって、年収アップを考える場合は、社員に還元できるほど、売上がある会社なのかを見定める必要があります。
また、どのような給与体系で評価基準はどうなっているのかは、事前にしっかりと把握しておきましょう。
その際は、ご自身がワークライフバランスを重視したいのか、より稼ぎたいのかによっても変わってくるので、自分が働く上での条件を事前にまとめておきましょう。
企業研究と合わせて、まず自分がどういう風に働きたいのか、ビジョンを明確にしておきましょう。
その過程でどうしたらいいのかわからなくなった時は、ひとりで抱え込まずに
また、自分から興味のある会社に応募したりスカウトを受けたりしてより多くの企業の中から選びたい場合は、