マネジメント経験がないとキャリアアップできない?
ITエンジニアが30代中盤から少しずつ考えなければならない問題として、今後のキャリアパスがあります。
さまざまな選択肢がありますが、大きく分けると
- プレーヤー(エンジニア)として技術を究めていく
- マネジメント側にシフトしていく
おもにこの2つに分けられます。
ひと昔前までは「ITエンジニア35歳定年説」というものがあり、上記のような選択を迫られる理由のひとつとして挙げられていました。
その内容は、ある程度の年齢(30代中盤あたり)まできたらマネジメント側にシフトして若手の教育や組織づくりなどに注力していくべきといったものです。
しかし、昨今では慢性的なエンジニア不足のため、30代中盤で完全にマネジメント側に移行したら手を動かせる人材が大幅に減ってしまいました。
また、以前よりも手を動かせる人材の評価が日本でも高まってきたため、最近では「ITエンジニア35歳定年説」は聞かなくなりました。
「ITエンジニア35歳定年説」が通用しなくなったその理由についてはこちらの記事でも解説しています。
しかし、現実問題として会社員でITエンジニアをしていると、歳を重ねるごとにキャリアパスをどうするか意識する機会が増えます。
先々どういたキャリアパスを進むかは、40代以降の切実な問題です。
この記事では、40代のITエンジニアが直面するキャリアパス問題とそれにどう向き合うべきかについて、そのヒントを実体験を交えて解説します。
ぜひ今後のキャリアパスを考える参考にしてください。
ITエンジニアはマネジメント職にならないといけないのか
最近では「ITエンジニア35歳定年説」が聞かれなくなったとはいえ、実際にはどうなの?
と気になっている人は多いのではないでしょうか。
では実際に、現場で働くITエンジニアがどう感じているのかを見ていきましょう。
マネジメントの必要性は感じるけど、やりたくない
ファインディが2023年10月に実施した「エンジニアの転職や働き方に関する意識調査アンケート」によると
- マネジメント経験がある人53.5%、ない人は46.5%
- マネジメント経験をやりたい人49.5%、やりたくない人50.5%
という結果となり、マネジメントの経験に関係なくマネジメントへの意欲は五分五分の結果となりました。
本音を漏らすと
マネジメントの必要性は感じる。けれど、なるべくやりたくはないかな。
といったところだと思います。
自分の30代中盤を振り返っても、そう感じたことあるなぁ。
ITエンジニアがマネジメント経験に不安になる理由
マネジメント経験への意欲があるかどうか、五分五分に分かれたその理由にはどんなものがあるのでしょうか。
当時、僕が現場で聞いた声としては
調整や折衝をすることが多い、板挟みもあり大変そう。。
資料作成などの事務作業に時間を取られそう。。
技術力が落ちる。スキルが無駄になりそう。。
そもそも人付き合いが苦手だし。。
などがありました。
自分の近くにいるマネージャーを見て、このようなイメージを持っている人は結構いましたね。
ITエンジニアに限った話ではなく、どうしても現場で技術に触れている方が楽しく面倒なことが少ないため、ずっと手を動かし続けたいという人は多いのではないでしょうか。
ただ、組織を動かすためには何らかのカタチでチームのマネジメントはもちろん、プロジェクトのマネジメントを進める人材を一定数の確保することが必要です。
加えて、今マネジメント職の人がさらなる昇進や転職などのキャリアアップを意識するので、そのポジションには空きが生まれます。
その場合は外部から人材を確保することもありますが、現場で手を動かしている人材がマネージャーになることも時には避けられません。
会社は組織としてマネジメントに支障が出ないようにする必要がありますし、何より一般的な組織で働いていると、プレーヤーでは給与面で頭打ちになることもまた事実です。
たしかに現場で手を動かす方が楽しいし興味はある。でも給与面のことを考えてるとマネジメントにシフトすべきなのかな?
ちょっと待ってください!
本当にマネジメント職にシフトしなければ、給与は上がっていかないのでしょうか。
ことITエンジニアに関しては、そうとも言い切れない部分があります。
次では、会社に勤めるITエンジニアの昇給についてもう少し詳しく見ていきましょう。
そもそもマネジメント職にならないと給料は上がらない?
先述した通り、一般的にはプレーヤーよりもマネジメント職の方が給与は高くなると言われています。
実際にそれを裏付ける調査がこちらです。
経済産業省が実施をした平成29年と少し古い調査にはなりますが、平均年収を見てみると
- SE・プログラマー(顧客向けシステム開発・実装):593.7万円
- プロジェクトマネージャー:891.5万円
となっていました。
こちらの調査を見る限りでは、管理者としての責任が発生するのでいちプレーヤーよりも報酬が高くなる傾向があった、正確には「以前まではそうだった」と言えるでしょう。
え?どういうことなの?
ITエンジニアはプレーヤーでも給与は上がる
よくこのあたりの話は言われることなのですが、現在ではちゃんとしたエンジニア組織を抱えている会社の場合、基本的にはITエンジニアでも給料は上がり続けます。
ことITエンジニア界隈の話で言うと、マネジメント職にならずにITエンジニアとして現場で手を動かし続けていても、給料は上がる傾向にあります。
会社によって差はありますが、具体的には国内の企業だと〜1,000万円、外資だと〜3,000万円(もしくはそれ以上)まで上がることも少なくありません。
そのため、JTC的な組織ならともかくある程度エンジニアリングのスキルがある人は、わざわざマネジメント側へのシフトを考える必要はないでしょう。
また、ITエンジニアだと副業もしやすいため、あえて年収500万円〜600万円くらいの会社で仕事をしながら副業の仕事でかなり稼いでいる人も少なくありません。
給与水準が高い企業に転職すれば、いちプレーヤーでも年収700〜800万円を目指すことは可能で、そういった知人を何人も見てきました。
このように、年収を上げるという目的のためでしたら、マネジメント職にならなくてもITエンジニアの場合は達成することはわかりました。
今までの話を聞いていると、マネジメント職にあえてならなくてもいいような気がするけれど。。
しかし、ここがITエンジニアのキャリアパスの難しいところで、特に40代に近づくと向き合わなければならない厳しい現実も見えてきます。
次では、そちらについてその詳細を見ていきましょう。
40代で最前線の技術トレンドについていくのはしんどい
マネジメント職にはならず、いちプレーヤーとしてITエンジニアを続けていけばこの先は安泰だ!
そういきたいところですが、そうは問屋が卸しません。
ITエンジニアがプレーヤーとして40代で最前線にいることもまた、大変なことがしばしばあります。
えーっ、そうなの??
以前の記事でも書いたとおり、ITエンジニアは新しい技術トレンドを常にキャッチアップし続けなければならず、そのためには日々の勉強が欠かせません。
しかし歳を重ねれば重ねるほど、若い時ほど情報のインプットがスムーズにいかず次第にインプットがしんどくなってきます。
そんな中でも、Xを活用することで効率よく最新の技術トレンドなど必要な情報収集をスムーズに行うことができます。
ITエンジニアが効率よくXを活用するメリットについて詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
40代は自分のために使える時間が少なくなる
たとえば
- 家事
- 育児
- 自分やパートナーの親の介護
など、40代の場合は置かれている環境によって自分以外の要因で発生するタスクも増えてくるため、自然と自己学習に使える時間やお金は減ってきます。
たしか以前の記事で、40代が自由使える時間は週で2時間に満たない割合が57%もいたんだよな。この状況だとそうなるのは納得だ。
このような理由もあって、徐々にマネジメント職へ移るケースもあると考えられます。
また、僕自身の場合、エンジニアリング自体は好きではあったのですが
- まわりのITエンジニアと比べると能力が低いかも。。
- このままITエンジニアとしてキャリアを続けていけるのか不安だ。。
というような想いがあったので、その時はマネジメント職に移るべきかを考えました。
僕のようにスキルを突き詰めてキャリアアップすることに不安や限界を感じた場合、ある程度健全な組織であれば、ITエンジニアとして現場で手を動かせる環境は用意してくれるでしょう。
しかし、その中でプレーヤーとして昇進していくことは難しくなります。
そうなると、この先で給与を上げていきたいと考えるのならば、自然とマネジメント側の動きをしていく必要が出てきます。
技術を究めるかマネジメントにシフトするか、どっちもそれなりに大変なことはわかった。で、結局のところどちらを選べばいいの?
次からは、プレイヤーとして技術を極めるかマネジメントにシフトするか、どちらに進むべきかを決めるためのヒントをご紹介します。
僕の経験を踏まえた上で、取るべき対処法についてお伝えします。キャリアパスの参考にしてくださいね。
マネジメント職として何を求められるかを知る
プレーヤーとして続けていくのか、マネジメントにシフトすべきかを考えるには、まずは自分がその組織のマネジメント職として何を求められているのかを知ることが大事です。
たしかに、何を求められているのか=ニーズを知ることはその第一歩だ。
先述の調査結果のように、マネジメント職になると面倒な仕事が増えたり残業が増えたりといったネガティブな印象が強い人が少なくありません。
ただ、マネジメント職がどのような仕事をするかは、その所属している組織によって大きく異なります。
感覚的には300名くらいでそこまで規模が大きくない組織の場合、マネジメント職と言っても実質プレーイングマネージャーとして自らも動くことになることがほとんどです。
ひとくくりに同じマネジメント職と言っても、その組織ごとに求められるものが違ってくるんだね。
自身の経験を客観的に評価し、どうしたいかを考えた上で決める
上記のように求められたマネジメント職のニーズを踏まえた上で、自身のキャリアを棚卸した後
- どうしたいのか(プレーヤー or マネジメント職)
- 何を優先したいのか(やりがい、スキルアップ、給与などの待遇面)
などを考えて決めるのが良いでしょう。
自分のキャリアを客観的に評価したり振り返ったりすることは簡単なことではありません。
ひとりで進めることに限界を感じた際は、
また、
自分と会社の目指すキャリアパスが異なれば転職もアリ
ITエンジニアだけに限った話ではなく、どの職種でも慢性的な人手不足のため昔ほど「歳をとったから管理職になれ」のような話は減ってきています。
しかし、歳を重ねてさまざまな経験を重ねるとマネジメント力は自ずと上がってくるので、少しずつマネジメント側へのシフトも考える必要が出てくるでしょう。
特に所属する組織が大きければ大きいほど、その考えは顕著になります。
スタートアップの場合ですと
40代でもまだバリバリのITエンジニアです、エンジニアリング以外興味ありません!
のようなスタンスでも認められる風潮がありますね。
それもそれで極端な気もするけれど。。
実際に僕の周りにいる優秀なITエンジニアが上司にキャリアをどうしたいか聞かれた時に
やりたいことはエンジニアリングですが、自分の適性はおそらくマネジメントなんですよね・・
と答えたそうです。
読者の人の中には、このようなケースにの人も多いのではないでしょうか。
- やりたいこと
- 適性
- 仕事に対して何を求めるのか
- どのような働き方を選ぶか
- 給与 or やりがい or エンジニアとしての成長 etc.
このあたりをどのように考えていくべきかが大事になります。
繰り返しにはなりますが、自分のキャリアパスで迷った場合は、自分が何を優先してこの先働きたいかを考えると良いでしょう。
その結果、今の会社だと自分が決めたゴールには向かわない、もしくは向かうことを許されないと判断したのであれば、転職もひとつの選択肢です。
家族のこととか考えたら、自分がどうしていきたいのか、ひとりだと客観的に考えられる自信がないかも。
このように自分が向かうゴールや優先すべきものがひとりだとわからない場合は、
また、
自分のコミュニティと関係のない第三者の意見を聞くことで、客観的に考えるためのヒントをもらえるかもしれませんよ。
まとめ|会社に求めるもの(目標)を今一度整理しよう
これまで、ITエンジニアが40代以降にプレーヤーで居続けるべきかマネジメントにシフトすべきかについて、いろいろな側面から検証をしてきました。
ITエンジニアとしてプレーヤーを続けるにしろマネジメントにシフトするにしても、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どちらに進むか判断をするには、まずは所属している組織がマネジメント職に何を求めているのかを知ることが大切です。そしてその上で
- どうしたいのか(プレーヤー or マネジメント職)
- 何を優先したいのか(やりがい、スキルアップ、給与などの待遇面)
などを、今までの自分のキャリアも考慮にいれながら決めましょう。
そしてその結果、会社に求められるキャリアパスと自分のそれに相違があるようなら、転職を視野に入れるのが良いでしょう。
自分のやりたいことや適性、今までのキャリアの棚卸しなどをすべてひとりでやるのは簡単ではありません。
そんな時は、
また、自分から興味のある会社に応募したりスカウトを受けたりしてより多くの企業の中から選びたい場合は、