
ITエンジニアと一言でいっても、その働き方はさまざまです。
僕はスタートアップ企業に勤める前、JTCと言われる伝統的な日本企業に在籍していたことがありました。
幸い人間関係での過剰なストレスはなかったのですが、技術的なスキルアップやキャリア形成の不安で最終的に転職を選びました。
- 会社の基盤は盤石
- 給与や福利厚生も手厚い
- ブランド力などのステータスがある
このようなメリットがJTCにはありますが、ITエンジニアがキャリア形成をするにはいくつか課題があります。
この記事では、JTCでITエンジニアが働いたらどうなるのか、その一例を僕の実体験より解説します。
現状にモヤっとしながらJTCで働くITエンジニアの方は、ぜひ参考にしてください。
モヤモヤ解消の第一歩は、自分の市場価値を知ることです。



そもそもJTCってどんな会社?
まずはJTCについて簡単に概略をご紹介します。
JTCとは、
- 【J】Japanese:日本の
- 【T】Traditional :伝統的な
- 【C】Company:会社
伝統的な日本企業、を意味する英語の頭文字まとめたもの
法的な定義はなくネットスラングから生まれたと言われています。
おもな特徴としては
- 長い歴史がある
- 世界的な知名度やビジネス規模が大きい
- 安定した経営を続ける
などがあり、金融業界やIT・ソフトウェア業界、メーカーなどさまざまな分野で長年日本経済を牽引してきた会社も多いです。



少なくとも名前は知っているという会社ばかりだよな・・
ただその一方で
- 古い慣習が残る(トップダウン、年功序列、終身雇用など)
- 個人よりも集団を重んじる
といった傾向が根強く残っている会社もあります。
最近では、豊田自動織機で発覚した品質不正問題で浮き彫りになった古い企業体質が話題にもなりました。
一時期までは各業界のJTCに入れば一生安泰だ!という時代もありました。
しかし、特にITエンジニアがJTCで働く場合はその組織について事前に把握しておくのが良いでしょう。
JTC企業におけるITエンジニアの働き方
ITエンジニアは、組織によってその働き方はさまざまです。
WebサービスやSaaSなどのプロダクトを開発している「IT企業」の場合には組織内にエンジニアのチームがあり、複数の部署やメンバーから成立しています。
しかし、IT業務をメインに行っていない会社の場合、エンジニア組織のないケースが少なくありません。
JTCにはエンジニアが集まるようなチーム、いわゆるエンジニアリング組織がないことがほとんどです。
IT関連業務は社内の情報システム部門や総務部門が対応したり、外部のSIerに外注して対応したりしています。
ただ、組織によっては一般的なIT企業のエンジニアと同様に、開発案件などを対応していることもしばしばです。



この場合、実質的にはITエンジニアといった感じですね・・
JTCにおけるITエンジニアのキャリア形成
エンジニア組織がない会社でのIT人材は、情報システム部門や戦略関連の部門、または総務部門に所属していることが多いです。
このような環境で働き続ける場合は、それぞれの部門での管理職を経由して本部長や役員を目指すのがキャリアアップの王道です。
しかし、エンジニアリングに精通している人であればあるほど、王道ではなく純粋にエンジニアリングの能力を高めてのキャリアアップを望みます。



僕も当時は、技術的なところをもっと極めていきたい!そこで評価されたい!!という想いがありましたね。
JTCでエンジニアリングのスキルを高められるか
技術的なスキルを高めたくても、JTCにいて可能なのか?と気になる方は多いのではないでしょうか。
JTCの組織編成上、外部のSIerに委託することが多くなるので、エンジニアリングのスキルを実務で培っていくのは正直難しいでしょう。
ただ、自身で学び日々アウトプットを繰り返すことで、エンジニアリングの能力は高められます。



実務以外でもスキルをアウトプットして発信していく場がたくさんあります。詳しくはこちらをご確認ください。
その中でも、自分の学んだ技術やスキルをブログで発信していくことが特におすすめです。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
しかし、JTCの場合はエンジニアリング業務は評価の対象にはならず、昇給しにくいのは言うまでもありません。



このあたりがJTCでITエンジニアが働く最大の悩みかも・・
JTCでITエンジニアがキャリアアップするには?
この答えは、どのような観点でキャリア形成をするか次第で選択するものは変わります。
- エンジニアリング能力を高めてさまざまな課題解決ができる力を身に付けたい
- そのスキルをもとに年収アップをしたい
このような場合は、JTCでは十分なスキルアップを目指すことは難しいため転職を検討した方が良いでしょう。
ただし、
- 会社組織中で生き残って出世するために必要な能力を高めたい
- JTCのメリットを利用し尽くしたい
と割り切れて組織に貢献することを重視するのなら、現状の組織で昇進していくのが良いでしょう。



僕は技術的なスキルアップをして、そのスキルでもう少し年収を上げたい気持ちが強かったので転職を選びました。
結果的に僕は転職を選びましたが、ITエンジニアがJTCで働く際にはメリット・デメリットの双方があります。
JTCでITエンジニアが働くメリット・デメリット
JTCでITエンジニアが働くメリットとしては、一般的に下記のような点が挙げられます。
- 給与水準が高く福利厚生も充実している
- ブランド力などのステータスがある
- 会社基盤は盤石で安定している
僕の経験で言うと、ある程度のスキルがあれば組織内では頼られることが多く、評価対象にはならなくとも円滑に仕事を進めるには十分の信頼を得られます。
昨今はビジネス環境上、ITに関する知見を持っている人材はとても評価される傾向です。
所属組織が成長する可能性が高い場合、そのまま昇進を重ねれば部長や本部長クラス、もしくは役員まで上り詰め、待遇は年々よくなる可能性もあります。



当時の部署にはITに精通する人がおらず自身の考えで組織のIT戦略を進められたので、やりがいを感じてました。
とは言いつつ結局は転職をしているので、このメリット以上に転職を選んだ理由があります。
僕が転職を選んだ理由(ITエンジニアがJTCで働くデメリット)
いちばんは、ITエンジニアとしてのキャリアアップができないことでした。
JTCはITに対して前向きではない(評価対象ではない)ので、ここにいてはビジネスでのキャリアアップも難しいかもしれない・・と感じたのも理由です。
また、転職の選択肢は歳を取ると減っていくので、中途半端なポジションで居続けることは大きなリスクになりかねないとも感じました。
また、何よりモヤモヤしていたのは、ITエンジニアと名乗りながらエンジニア界隈で実績をアピールできないもどかしさが大きかったです。
ウリの実体験 〜僕が転職を選んだ理由〜
僕が転職を考えた最大のきっかけは、管理職への打診でした。
研修を受けながら、増える給与額と負担を天秤にかけて『割に合わない』と言うのが本音でした。
将来的にITエンジニアが目指すべきポジションが、その会社になかったことも大きかったです。
当時は技術的なスキルアップをしたいこだわりもあったので、対外的にアピールできることがない現状にモヤっとしていました。
外部とつながりを持ったり学んだり発信したりしていたものの、エンジニア界隈で自分がコレだ!と言えるものがないもどかしさはありました。
人間関係は悪くなく昇進もできそうだったのですが、40歳間近と言う年齢を考えた時に
『動いて勝負するなら今しかない。これがラストチャンスだ!』
と判断して、まずは転職することにしました。



40代前後はキャリア形成を考える上でもターニングポイントだよな・・



あの時動かずにそのまま管理職になっていたらと思うと・・震えます。
そう決めて40歳でスタートアップに飛び込んだ訳ですが、その経験からいくつか留意した方がいい点があったので備忘録してまとめました。
JTCから転職する際に注意したいこと
JTCからスタートアップに転職する場合、現職よりも職場の年齢層が若くなり環境が変わります。
この場合、仕事上でのコミュニケーションが大きく変わることが多いです。
特にある程度の年齢(40代前半)での転職では、たとえ良い会社であっても慣れるまで大変なのである程度覚悟はしておきましょう。



転職先のスタートアップ企業はメンバーも優秀で良い人ばっかりだったのですが、若い人が多くてはじめのうちは戸惑いました。
転職時の年収など条件について
JTCのような古い環境からスタートアップなどに転職した場合、労働環境は大きく改善されて、年収もアップする可能性が高いです。



実際、スタートアップ企業に転職後は以前よりも年収は上がり技術面でもスキルアップができる良い会社で働くことができました。
ある程度手を動かせる自覚があるのであれば、JTC企業に居続けるよりもより良い会社に転職してよりエンジニアリングに力を入れられるような選択肢を取るのも良いでしょう。
転職活動をはじめる場合、在職中だと使える時間は決して多くはありません。
効率よく働きながら転職活動をするには、


また、40代ITエンジニアの転職では情報収集が大事になります。
特にJTC企業に長く居た方は外部のITエンジニアとのつながりを持たない方が多いので、最新情報やトレンドには疎い人は少なくありません。
40代ITエンジニアが業界トレンドを把握するための方法を知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
どのような選択肢があるか
では、転職先として具体的にはどのような会社を選べば良いのでしょうか。
たとえば
- 事業会社のエンジニア(いわゆる自社サービス開発会社)
- SIer/SES
- ITコンサルタント
あたりが選択肢となるでしょう。
ITエンジニアとして技術的な部分の理解を深めて新しい挑戦をしていきたいのであれば、事業会社でのエンジニア職を検討するのがおすすめです。
その際に気を付けたいのは、お給料はその会社のビジネスの成長に引っ張られるため、しっかりと会社選びをすることが重要です。
転職の際の会社選びについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
SIer/SESは事業会社から案件を受注してシステム開発などを行うのため、さまざまはプロジェクトに関われます。
その反面、技術選定などは関われる要素が少なく、またクライアントワークなの能動的にエンジニアリングでの課題解決が難しいでしょう。
また、エンジニアリングの能力自体が評価されることは少なく、ある程度のポジションにならないと給料はそこまで増えないのもネックです。
ITコンサルタントについては、もっとも給料が高い分野で周りに優秀な人も多いです。
しかし、クライアントワークであるため、エンジニアリングでの課題解決を能動的に行うのは難しいでしょう。



それぞれの会社組織や業態、規模、会社のビジネスなどいろんな要素で会社選びをすることが重要だね。



自分に合った企業を限られた時間の中で探すには、
まとめ|スキルアップを目指すなら転職した方が良い
先々のキャリアを考えた時に、ITエンジニアとしてのキャリアアップしたいのであれば、転職すべきです。
JTCでITエンジニア的な働き方をする場合、自由に技術選定などを行うことができるなどの楽しさはあリますが、新たな技術的な成長はあまり見込めません。
まわりに優秀なITエンジニアがいて、組織としてもエンジニアとしてのキャリアアップを前向きにサポートしてくれる会社に転職するのが良いでしょう。
転職活動の第一歩は、自分自身の市場価値を知ることです。





また、長くJTCにいる人は、外部のITエンジニアや同じ技術領域の人とつながることをあまりしません。
転職活動では業界の動向や最新のトレンドを理解する上でも、XなどのSNSを活用することは重要です。
ITエンジニアがXを活用するメリットについて詳細を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。